「友達」の定義を問う

 1(爆豪視点) |雄英1年・林間合宿前

変な奴。そう、変な奴だ。爆豪勝己は彼女—についての第一印象をその辺のモブと同じとしていた。
そもそも女などどれも同じだ。折寺中学の時はヒエラルキーの頂点である爆豪に媚びたり色目を使う煩いモブばかりであった。媚びるのは男についても大差なかったが、女どもの声は殊更神経を逆撫でた。
ヒーローになればこのような弱者まで守らねばならないが、それは他の奴がやればいい。俺はヴィランをぶっ潰すのみ。雄英に入ってもそれは変わらないスタンスだった。




顔に湿布を貼り付けたを目の前にした時に正直に感じた感想といえば「無様」である。女子に対してお優しいアホ面やクソ髪ならそんな発想は微塵も起こらないだろうが、俺はそうはならない。正直な罵倒が口をついて出た。
「…………………ブス」
無様とブスはどことなく似ているな。どうでもいいが。などと考えていると、目の前の無様な女は何を思ったか俺に喧嘩をふっかけてきやがった。どういう思考しとんだ。
俺は売られた喧嘩は買う。たとえ女でもだ。




女はクソ弱かった。当たり前だが。まずもって至極当然であるが、俺がこんな女に負けるはずがない。転がって息切らせた女はまだ喚いている。正直クソ面倒くさかった。だが、また何をトチ狂ったのか俺に勝つまで挑んでくるというのだ。正真正銘のバカか。
そもそもヒーロー科のくせに自分の個性を有用に使う気がなさすぎだろ。ザコ個性に毛が生えたようなものだが、万一、万一俺が使うならもっと上手くやる。そういう素振りさえないとはどういうことだ。 こいつとペア組まされた日には地獄だな、ということを勘案して思わず舌打ちが出た。俺の思い通りに動くくらいには使える奴でなければ困る。
「…来週、木曜」
ぽろっと出た言葉に自分でも驚いたし、わけがわからなかった。こんな奴にかまけている時間が惜しい、はずなのに口は勝手に動いた。女に挑まれて逃げたと思われるのが癪だとか、歯向かってくるなら徹底的に潰しておくかとか、個性を使って暴れられるなら何でもいいとか、そういう気分だったと片付けた。そういうことにした。
さっきまでうぜぇと思っていた女の目に少しだけ気圧された、とは死んでも思ってねぇ。




家路につく頃、無様な女のことを思い出す。思えば、男からふっかけられることは数え切れないほどあったが、女から喧嘩を売られたことは初めてだったのではないだろうか。
は俺の脳内仮想敵のカテゴリに分類された。噛み付いてきた分爆破すればいい。今までそうやって蹴散らしてきたように。

(2020/6/16) ▼ TOPNEXT >